退職金の受け取り方(一時金 vs 年金)比較ツール
同じ退職金を一括(一時金)でもらう場合と、年金形式で分割してもらう場合の 手取りを即比較。退職所得控除・1/2課税の優遇と、年金にかかる毎年の税金まで反映した概算です。
つまり:退職金2,000万円・勤続38年なら、一括でもらっても10年の年金形式でもらっても、手取りはほぼ同じ(差は約3万7,340円)です。 手元資金をすぐ使いたいか、毎年こまめに受け取りたいか、ライフプランで選んでよい水準です。
くわしい計算の内訳(参考)
| ① 一時金(一括)で受け取る場合 | |
|---|---|
| 退職金額 | 20,000,000 円 |
| 退職所得控除(勤続年数で決まる非課税の枠) | 20,600,000 円 |
| 課税退職所得(控除を引いた残りの1/2だけ課税) | 0 円 |
| 所得税+住民税 | − 0 円 |
| 一時金の手取り | 20,000,000 円 |
| ② 年金形式で受け取る場合 | |
| 毎年の受取額 | 2,136,634 円 × 10年 |
| 受取総額(運用益が乗って一時金より増える) | 21,366,340 円 |
| 税金(1年あたり)(雑所得として毎年課税) | − 132,900 円 |
| 税金(受取期間トータル) | − 1,329,000 円 |
| 年金形式の手取り総額 | 20,037,340 円 |
| 差額(②−①) | +37,340 円 |
※ 一時金は他の所得と分離して課税、年金形式は退職金由来の年金のみで公的年金等控除・基礎控除を 当てはめた概算です。実際には老齢年金との合算・受給開始年齢(65歳以上は公的年金等控除が手厚い)・ 会社の制度・社会保険料・運用利率の変動で大きく前後します。受け取り方を決める前に、会社の退職金規程と 源泉徴収票、税理士・社労士などにご確認ください。
退職金額別・一時金 vs 年金の手取り早見表(概算)
勤続38年・年金形式は10年・予定利率1.5%で計算した手取りの目安です。 条件を変えたい場合は上のシミュレーターで調整してください。
| 退職金額 | 一時金の手取り | 年金形式の手取り総額 | 差額(年金−一時金) |
|---|---|---|---|
| 1,000万円 | 10,000,000 円 | 10,645,170 円 | +645,170 円 |
| 1,500万円 | 15,000,000 円 | 15,301,760 円 | +301,760 円 |
| 2,000万円 | 20,000,000 円 | 20,037,340 円 | +37,340 円 |
| 2,500万円 | 24,655,000 円 | 24,772,930 円 | +117,930 円 |
| 3,000万円 | 29,006,800 円 | 29,510,510 円 | +503,710 円 |
| 4,000万円 | 37,330,100 円 | 38,692,680 円 | +1,362,580 円 |
※ 概算。年金形式は退職金由来の年金のみで課税計算しており、老齢年金との合算・受給開始年齢・利率の変動・ 会社の制度差で実際とは前後します。
そもそも退職金の「一時金」と「年金」とは?
退職金には、退職時にまとめて一括で受け取る一時金と、決めた年数に分けて毎年受け取る年金形式の2つの受け取り方があります(会社の制度によっては併用もできます)。 同じ退職金でも、かかる税金の種類がまったく違うため、手取りに差が出ます。
一時金(一括)は税金がとても軽い
- 退職所得控除:勤続年数に応じた大きな非課税枠があります。勤続20年までは1年40万円(最低80万円)、 20年超の分は1年70万円。たとえば勤続38年なら2,060万円までが非課税です。
- 1/2課税:控除を引いた残りも、さらに半分だけが課税対象になります。
- 分離課税:給与など他の所得と合算されず、退職金だけで税額を計算します。
年金形式は運用で増えるが毎年課税
- 運用益が乗る:受け取らずに残っている分が予定利率で増えるため、受取総額は一時金より多くなります。 受取年数が長く、予定利率が高いほど差が大きくなります。
- 雑所得として毎年課税:受け取る年金は「公的年金等の雑所得」になり、受け取るたびに毎年 所得税・住民税がかかります。公的年金等控除はありますが、退職所得のような1/2課税はありません。
- 老齢年金と合算:実際には国の老齢年金などと合算して課税されるため、控除を超えて 税負担が増えやすい点に注意が必要です(本ツールは退職金由来の年金のみで概算)。
どう選ぶ?
勤続年数が長く退職金が退職所得控除の枠内に近いほど、一時金の税優遇が効いて一括が有利になりやすい一方、 予定利率が高く受取年数が長いと年金形式の運用益が効いてきます。手元資金をすぐ使う予定があるか、 毎年の生活費として平準化したいかなど、税金だけでなくライフプランで判断するのが安全です。
よくある質問
- 退職金は一時金と年金、どちらでもらうのが得ですか?
- ケースによります。一時金は「退職所得控除」と「課税対象が1/2になる優遇」で税金がとても軽く、勤続年数が長いほど有利になりやすいです。一方、年金形式は受け取らずに残った分が運用で増えるため、予定利率が高く受取年数が長いほど受取総額が増えます。ただし年金は毎年「雑所得」として課税されます。本ツールで両方の手取りを概算して比べてください。
- 退職所得控除とは何ですか?
- 退職金にかかる税金を計算するときに、退職金から差し引ける非課税の枠です。勤続20年までは1年あたり40万円(最低80万円)、20年を超えた分は1年あたり70万円で計算します(例:勤続38年なら800万円+70万円×18年=2,060万円)。退職金がこの控除額以下なら、一時金で受け取ると所得税・住民税は0円です。
- 年金形式だと税金が増えるのはなぜですか?
- 年金形式で受け取るお金は「雑所得(公的年金等)」として、受け取るたびに毎年課税されます。公的年金等控除はありますが、退職所得のような『1/2課税』の優遇はありません。そのぶん運用益で受取総額が増えても、税金で差が縮まることがあります。とくに老齢年金と合算されると控除を超えやすく、税負担が増える点に注意してください。
- この比較ツールの計算はどこまで正確ですか?
- 退職所得控除・1/2課税・所得税の速算表・住民税10%・公的年金等控除(65歳未満の区分)・基礎控除だけを反映した概算です。老齢年金との合算、受給開始年齢(65歳以上は控除が手厚い)、社会保険料、会社ごとの退職金・企業年金の制度差、利率の変動は反映していません。受け取り方を決める前に、会社の退職金規程・源泉徴収票や、税理士・社労士にご確認ください。
出典・計算の根拠
- 国税庁 タックスアンサー No.1420「退職金を受け取ったとき(退職所得)」 (退職所得控除・1/2課税・退職所得の速算表・分離課税)
- 国税庁 タックスアンサー No.1600「公的年金等の課税関係」 (年金形式で受け取る退職金の雑所得・公的年金等控除)
- 国税庁「所得税の税率(速算表)」「復興特別所得税(2.1%)」
- 総務省・各自治体「個人住民税(所得割10%)」
一時金は「課税退職所得=(退職金−退職所得控除)×1/2」に速算表と住民税10%を適用、年金形式は 退職金を原資に予定利率で運用しながら均等取り崩しした年額に公的年金等控除・基礎控除を当てはめた概算です。料率・控除額は2024〜2025年度(令和6〜7年度)の公表値に基づきます。 老齢年金との合算・受給開始年齢・社会保険料・会社の制度差は反映していないため、最新かつ正確な金額は 会社の退職金規程・源泉徴収票や税理士・社労士にご確認ください。